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2025/04/10

【解説シリーズ】“磨き”って何してるの?プロの下地処理、実はこんなに重要なんです

「磨きって、実際に何をしてるんですか?」

施工のご相談時に、こう聞かれることがよくあります。
コーティングや洗車と混同されがちな“磨き”ですが、実は塗装の美しさと耐久性を左右する“下地処理の要”とも言える工程です。

今回は、専門的な視点から「磨きとは何か?」を少し突っ込んで解説してみます。

磨きとは「塗装面の再構築」
まず、“磨き”とは簡単に言えば塗装表面の研磨処理です。

車の塗装は「クリア層」「カラーベース」「下地(プライマー)」の3層構造になっており、
その最表面にあるクリア層(=透明な保護膜)に細かなダメージが蓄積していきます。

具体的には:
• 洗車キズ(拭き取り時にできる細いスクラッチ)
• 水ジミ、雨ジミ(ミネラル分が焼き付いたもの)
• 酸化くすみ(紫外線や排気ガスなどによる劣化)

これらのダメージを、ポリッシャー+コンパウンド(研磨剤)で塗装を極薄く削り、滑らかで均一な面に再構築するのが「磨き」の作業です。

磨きの工程は1種類ではありません
磨き作業は、一発で終わるものではありません。
お車の状態や塗装の硬さ・色味に応じて、複数のステップを踏みます。

磨き工程の一例:
1. 荒研磨(キズ除去)
 → 深いスクラッチを取り除く工程。バフも硬めで、コンパウンドの粒子も粗め。
2. 中間研磨(肌調整)
 → 塗装の“ゆず肌”を整える段階。光沢のベースを作る。
3. 仕上げ研磨(艶出し)
 → 仕上げ専用の超微粒子コンパウンドで、鏡面仕上げに近づける。

場合によっては「荒研磨なし(ミディアムポリッシュ)」や「仕上げのみ(ライトポリッシュ)」など、お車に合わせたカスタム施工を行っています。

道具・環境も品質を左右します
プロの磨きにおいて重要なのは、“何を使うか”と“どう使うか”。
• ポリッシャーの種類(ギア・ダブルアクション・シングル)
• バフの素材(ウレタン・ウール・マイクロファイバー)
• コンパウンドの種類や粒度

そして、照明環境や塗装の温度管理、湿度管理なども仕上がりに大きく影響します。
単に「磨く」だけではなく、“仕上がりのゴール”をどこに置くかによって、磨きのアプローチは大きく変わります。

磨きなしのコーティングは、スキンケアをしないでファンデをするようなもの
コーティングだけを施工する場合、表面のキズや汚れ、酸化層がそのまま封じ込められてしまいます。
見た目だけでなく、コーティングの定着性や耐久性も落ちる原因に。

当店では、コーティング本来の性能を発揮させるために、磨きによる下地処理を最重要視しています。

まとめ:磨きは“塗装の再生”であり、“土台作り”です
「磨き=キズを取るだけの作業」と思われがちですが、
実際は塗装を“再生”し、コーティングの土台を整えるための高度な技術作業です。

お車の美しさを引き出し、その状態を長持ちさせるために、
「磨き」は決して省けないプロセスなのです。